『3D Mixing で何ができる?』
現在360度のVR映像が増えてきていますが「音はステレオのまま」というのが多いですね。最近特に違和感を覚えるのがこの360度のミュージックビデオで、映像を回転させても音がそれに追従しないこと。これではせっかくのVR映像を活かすことはできません。映像が動いたら音もそれに追従するように動いて欲しいですよね。
この音追従を実現させるのが先ほど書いた「W,X,Y,Z」の4トラックで構成されたアンビソニック方式の音源なのです。この4トラックの音源と360度の映像を合わせればユーザーが映像を動かした方向に追従して音も動くというVR映像を作成することが可能です。
本来ならば3次Ambisonics(16ch)で3D空間を再現したいところですが、YouTubeでは現在1次Ambisonics(4ch)までしか対応がなく、結果的に空間再現精度は低くなっているのが現状ですが、近い将来3次Ambisonicsに対応するという噂がありますので、それを待ちたいと思います。
次の動画は2018年5月24日に公開になったアーティスト ”Utae” さんの『VICTORIA』という楽曲の360°MVで、Utaeさん制作のセッションをAmbisonicsでミックスしたものです。MacのSafariには対応していませんので、Google ChromeやFirefoxなどで再生してみて下さい。1次Ambisonicsではありますが、映像に追従して音が動く感じが分かるかと思います。
いかがでしょうか?
(Utaeコメント)
このAmbisonicsミックスを利用した360度MVは、3Dパンナーで各トラックをAmbisonicsエンコードした『W,X,Y,Z』の情報を書き出し、それを360度動画に合わせることで作成することができます。
3D Mixing は、バイノーラル・レンダリングする手前のAmbisonicsデータを書き出せば、このようなMVを作ることができますし、バイノーラル・レンダリングして2チャンネルにすればCDや配信など、既存のメディアを通じ、リスナーは『いつものスタイルで3Dサウンドを楽しむ』ことができるのです。
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PENTANGLE STUDIO Engineer 飛澤正人